外部ブログの記事「年度末の株価は上昇?それとも下落?」を読むと、日経平均株価の興味深い特徴が出ています。
3月末日の日経平均株価
ざっくり書きますと、「2011年~2020年の10年間で、年度末最終日(3月末日)の日経平均株価は、9回が陰線、1回が陽線」だという結果。
- 上昇:1回
- 下落:9回
棒グラフにすると、以下の通りです。2013年や2014年は、アベノミクスで株価がどんどん上昇していたのに、マイナス。
年度内に受け渡ししようと思えば、何日か前までに株式を買う必要があります。そこで盛り上がった反動が出るのだろうか?
…という考察はさておき、「日足は90%の確率で陰線だった」を利用したトレードができそうです。
ここでは、バイナリーオプションで考察します。
株式でバイナリーオプション
日本でバイナリーオプションができるのは全部で8社ですが、その中で日経平均株価を取引できるのは、IG証券のみです(合法な業者のみで考察)。
そこで、IG証券について見ていきます。
取引可能時間
取引可能時間
- IG証券:9時03分~15時00分
- 東証:9時00分~11時30分、12時30分~15時00分
今回は、3月末日の最終日の日足を考えていますので、11時30分~12時30分のお休み時間は無視できます。
取引終了時刻は、両方とも15時00分ですから全く同じです。問題になるかもしれないのは、取引開始時刻です。
3分だけですが、時間差があります。
この3分間で株価が大きく動く場合は、バイナリーオプションで取引するのは難しそう。そのような懸念がある場合は、くりっく株365の方が有利かもしれません。
くりっく株365なら、取引時間は午前8時30分~翌日午前5時00分です。
トレード手法
トレード手法は、いたって簡単です。3月末日の日経平均株価は下落すると判断する場合、以下の通りです。
どこまで下落するか考えて、9時03分に取引開始して放置。15時00分になったら自動的に清算完了。
9時00分に新規売りして、15時00分に決済。
バイナリーオプションの場合、どこまで下落するかを考えるのが大変かもしれません。考えたくない場合は、始値に最も近い位置のラダーで取引することになるでしょう。
15時になったら自動で清算されるので、放置できるのが楽です。
くりっく株365の場合は、15時になったら手動で成行決済しなければならないのが厄介かもしれませんが、事前に「どこまで下落するか?」と頭を悩ます必要はありません。
ただし、2021年は例外的に暴騰しました!という場合、くりっく株365だと大損になる可能性があるので、注意です。
バイナリーオプションの場合は、ギリギリ負けても思いっきり負けても、損失額は同じです。損失額はあらかじめ分かっており、想定外の巨大損は発生しません。
下落幅が小さい場合
日経平均株価の下落が小さいときの考察も、必要でしょう。例えば、日経平均株価の始値と終値の差が△50円(50円の下落)だとします。
くりっく株365の場合、利幅は50円の下落分だけです。
しかし、バイナリーオプションの場合、目標値に到達していれば、10円の下落だろうと1,000円の下落だろうと満額をもらえます。
この差が大きいです。
では、いつもバイナリーオプションの方が良いかと言えばそうでもなく、下落幅が大きい場合は、くりっく株365の方が収益を狙いやすいです。
よって、どちらを選ぶか(あるいは両方でやるか)については、3月末日の日経平均株価がどうなるか?という見通しも絡んできます。
顧客の成績
では、バイナリーオプションで取引している顧客の成績は、どんな感じでしょうか。
データが毎月公開されていますので、ラダーについて3月の成績を見ていきましょう。
判定時の株価が、目標価格よりも上か下かを予測するオプション。
年(3月) | 顧客獲得額の割合 | 損失割合 |
2014 | 95.9% | 67.2% |
2015 | 87.8% | 72.5% |
2016 | 98.4% | 66.9% |
2017 | 98.0% | 69.2% |
2018 | 94.0% | 64.5% |
2019 | 95.5% | 58.5% |
2020 | 94.2% | 67.2% |
表の用語を確認しましょう。
顧客獲得額の割合
バイナリ―オプションでは、取引の開始時に顧客がお金を支払います。正答すれば払い戻しがあり、不正解なら0円になります。顧客全体が支払った金額と、正答した人が受け取った金額の比率です。
100%を超えると、IG証券の損失になります。100%を下回る場合は、IG証券が収益を得ます。
損失割合
取引額は毎回異なるでしょうが、単純に平均を出すと、顧客獲得額の割合は94.83%、損失割合は66.57%となります。
すなわち、IG証券の収益は取引額全体の5.17%、顧客の3人に2人が損しているという計算です。
この数字の評価は難しいですが、IG証券としては、システム維持費やスタッフ給与などを捻出しなければなりませんので、顧客獲得額の割合を100%以上にするのは難しいでしょう。
一方、顧客としては、少しでもたくさん獲得したいでしょう。
取引コスト
ちなみに、上の実績値で出した5.17%の収益ですが、顧客から見れば取引コストに相当します。取引コストとして考えると、5.17%は大きい数字だと感じます。
バイナリーオプションをするにあたっては、このコストをどう考えるか?も大事になってくるかもしれません。
とはいえ、正答して払戻(ペイアウト)をもらう側になれば、多少のコストはどうでもいいよ、という感じかもしれませんが。
特徴を知っていたら
ここで、一つ仮定してみます。3月最終日の日経平均株価の特徴をあらかじめ知っていて、10年間を過ごしたとしたら、どうなっていたでしょう。
「他の人は知らないけれど、自分だけが知っている」状態なので、とても素晴らしい展開になっていたはずです。
2021年以降も同様か?というのは、分かりません(将来の話なので)。しかし、直近10年間のデータを無視することも難しいのでは?という感じがします。
90%という数字をたたき出しているからです。
FXでも株式でも何でもそうでしょうが、相場で多くの人が損する一方で、ある人は資金を増やしていきます。
資金を増やす人は、「どういうときに上がりやすいか、下がりやすいか」が分かっていて、それをトレードに反映できる技術を持っています。
「3月末日の日経平均株価は下落しやすい」というのも、そういった傾向の一つと言えそうです。
小さくトレード
最後に、トレードに投入する資金ですが、90%の確率通りになるとしても、少額で取引するのが良いと感じます。
と言いますのは、残りの10%の確率が今年やってくる可能性があるからです。
勝率100%でない限り、控えめな金額で取引するのが、相場で長生きできるコツの一つでしょう。