「英語を日本語に翻訳できますか?」という問い合わせがあったのをきっかけに、相場ニュース翻訳の世界に足を踏み入れました。
相場ニュースの翻訳に必要な能力
実際に翻訳してみると、必要な能力は3つあると気づきました。
能力1:英語の理解力
翻訳に必要な能力は、やはり英語力でしょう。ゆったり為替の場合、FXや仮想通貨の情報は主に英語で仕入れますので、英語を読むのは苦になりません。
英語で情報を仕入れる理由ですが、例えば米国発の情報なら、日本語よりも英語情報の方が速報性も情報量も圧倒的に優れているからです。欧州情報も豪州情報も、基本は英語です。
具体的には、各中央銀行のホームページを中心に読んでいます(豪州中銀のホームページにアクセスしすぎて、同中銀にゆったり為替のIPアドレスをブロックされてしまいました…)。
仮想通貨に至っては、英語ができないと欲しい情報が手に入りません。日本語情報は「いかに儲けるか?」に偏っていて、幅広い情報を得るのが難しいです。
能力2:相場ニュースの文体理解力
なお、英語が読めれば翻訳ができるというものではなく、日本語の相場ニュースは独特の文体があります(同様に、英語の相場ニュースも独特です)。
よって、両方の文章の作りを把握していないと、「ザ・翻訳」のような日本語になってしまい、翻訳臭がプンプンと臭う読みづらい文章になってしまいます。
すなわち、必要な能力の2つ目は、日英の相場ニュースの作法と言いますか、文章構成を知っていることです。
この点については、ゆったり為替は相場にどっぷり漬かって生きていますので、特に問題はありません。
能力3:日本語執筆能力
そして3つ目は、日本語の文章を書く能力です。私たちは日本語を使って毎日を過ごしていますが、文章を書くには訓練が必要です。
日本語を書くのは、意外に難しいです。
英文例
実際の翻訳文を出すことはできないので、検索して出てきたニュースを例にしてみます(Euro Exchange Rate Newsから引用)。
The Euro to Pound exchange rate is edging higher during today’s session as the Pound falls back from a 13-month high against the Euro.
At the time of writing the EUR/GBP exchange rate is trading at around 0.8564.
(見出し)Euro (EUR) Capitalises on Volatility with US Dollar
以下、本文が続く…
最上部の2文は、特に難しい文章ではないように見えます。
趣旨は「本日のユーロ/ポンドは上昇。ポンドは対ユーロで13カ月ぶりの高値水準から反落しており、本稿執筆時点で0.8564付近で推移している。」です。
ただし、難しくないとはいえ、下の素直な翻訳は相場ニュースの作法に沿っていないのでNG。
イマイチな翻訳:
本日のユーロ/ポンドの為替レートは、ポンドが対ユーロで13ヶ月ぶりの高値から反落しているため、上昇しています。本稿執筆時点で、ユーロ/ポンドの為替レートは0.8564付近で推移しています。
その一方、(見出し)部分は工夫が必要です。
といいますのは、素直に翻訳してしまうと意味不明になり、読者がストレスを感じてしまうためです。
ユーロは米ドルのボラティリティを利用する。
この訳では、何を言いたいのかさっぱり分かりません。
こういう時は、見出し以下の本文を読みます。とはいえ、(経験値があるので)本文を読まなくても本当の意味はおおよそ分かりますので、本文を読んで確実な日本語を探すというイメージです。
ちなみに、大学受験的な翻訳だと"capitalise on"は「~を利用する」と訳しますが、ここではその意味でなく、ユーロが米ドルに対して上昇したという意味で使われています。
よって、見出しの翻訳例は、以下のような感じでしょう。
ユーロ/米ドルはボラティリティを伴いつつ上昇
直訳に比べて、大幅に分かりやすくなりました。
なお、より正確に訳すには、記事の対象となっている通貨ペアのチャートを表示しながら翻訳するのが望ましいです。チャートを見ながら翻訳すると、とてもやりやすいです。
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